グルメ
中身汁|イカ墨汁|山羊汁

沖縄グルメの定番の汁物
沖縄グルメを語るのに欠かせないものは数多くあります。前回は名称が不思議なジューシーと人参しりしりをご紹介しましたが、汁物もそのひとつといえます。大きなどんぶりにたっぷりの汁物、それに、ご飯とおかずといった定食は、まさに、沖縄のソウルフードなのです。今回は、その中から、中身汁、イカ墨汁、山羊汁をご紹介しますね。
中身汁
豚のモツ(内臓)を使った中身汁、もしくは、中味汁(なかみじる)は、沖縄の行事には欠かせない汁物です。具材として入る豚のモツは、沸騰したお湯でゆでたあと小麦粉でもみ込み、ていねいに水洗いをします。この下処理を何度もくりかえすことで、モツのクセが抜けて食べやすくなるのだそうです。
豚のモツのほかには、豚腕赤肉、干し椎茸、こんにゃく、ごぼう、人参などが入ります。かつおだしと椎茸の戻し汁を使い、醤油や少量の泡盛、塩で味つけし、仕上げにしょうがのすりおろしをトッピング。見た目にも透明感のある中味汁は、意外にもあっさりとした味わいです。
オキハム中味汁 800g(冷蔵タイプ。たっぷり食べたい人に)
イカ墨汁
白イカの墨にかつおだしをあわせて作るイカ墨汁は、濃厚な味わいが特徴の黒い色をした汁物です。沖縄に昔から伝わる「シンジ料理(シンジ=薬草を煎じる)」の一つ。「シンジ料理」は、滋養あふれる食べ物を意味し、病気や疲労時に免疫力をあげるために食べる特別な料理でした。ほかには、「サギグスイ(下ぎ薬)」とも呼ばれ、体内の毒素を出したり熱や血圧を下げたりする効果もあるといわれています。かつては薬のように食べられていたイカ墨汁ですが、今では街の食堂のメニューにも登場するようになりました。
イカ墨汁は、白イカの切り身と豚肉を濃いめのかつおだしでじっくり煮込み、最後にイカ墨を加えて仕上げます。イカのほかに、ニガ菜やよもぎ(フーチバー)などの野菜が入ることも。味つけは塩のみとシンプル。素材の旨味がとけ込んだ濃厚な風味は、一度味わうとくせになります。ただし、イカ墨汁を食べると口の中が黒くなるのでご注意を。
山羊汁(やぎじる)
山羊は、「ヤギグスイ(山羊薬)」と呼ばれるほどに栄養価が高く、また肉や血、内臓、ミルクまで、すべてを食用できる家畜として沖縄では昔から身近な存在でした。その山羊肉と野菜を煮込んだ山羊汁(ひーじゃー汁とも呼ぶ)は、お祝い事や家の上棟式(じょうとうしき)でふるまわれる料理として知られています。
沖縄でも好きな人と嫌いな人がわかれるという山羊肉。山羊肉を骨付きのままぶつ切りにし、水と泡盛で柔らかく煮込み、よもぎ(フーチバー)を最後に加えてつくります。煮込みのあいだに浮かぶ脂とアクをていねいにすくいとりながら仕上げ、最後におろし生姜をトッピング。味つけは塩のみです。新鮮な山羊肉を使った山羊汁は、初めて食べる人でも、「臭みがなくて食べやすい。むしろ好き」という人も多いのだとか。羊の肉が好きな人は、山羊の肉も好きになるという説もあります。
沖縄の汁物は、他にも色々とありますが、今回は人気の定番3種類をご紹介しました。沖縄に来ていただけない状況が続いていますが、ぜひ、通販で沖縄の味を楽しんでみてください。