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島豆腐|地釜豆腐|ゆし豆腐

観光で食べてヤミつきになる人続出

沖縄のスーパーで、豆腐コーナーに行ったことはありますか? 冷蔵ケースを見ると、通常の豆腐よりも大きめの「島とうふ」や「地釜(じがま)とうふ」、「ゆし豆腐」といった名前の豆腐が並んでいます。そして、何よりも、常温の特設島豆腐コーナーも別に設けられている店舗もあるのです。そこに置かれているのは、できたてのあちこーこー(温かい)の豆腐です。

島豆腐イメージ

袋に入れられた豆腐を手にとってみると、ずっしりとした重み。なんと一丁が1kgもあるのです。となりに置かれた「ゆし豆腐」も同じくらいに重い!これは、今年の5月まで、沖縄でのみ許可されていた販売方法でありました。ただ、6月1日からは国際的な衛生管理基準が義務化され、販売する豆腐の温度の管理基準が厳しくなったのです。55度以上の温度を常に保たなければならず、作る側も売る側も大変な課題と直面したのです。あちこーこーの島豆腐が存続していけるのか否かという不安な声もありますが、冷蔵販売以外も行われていた沖縄における豆腐について、ご説明しましょうね。

沖縄の島豆腐とは?

島豆腐イメージ

沖縄で食べられている豆腐は、「島豆腐」と呼ばれています。島豆腐は、昔は各家庭で海水を使って手作りされていたほど身近なもので、沖縄では今も家庭料理の素材としてひんぱんに登場します。

一般的な豆腐は、水につけておいた大豆を煮たものをそのまますりつぶして豆乳にします。その豆乳を煮立てた後、にがりなどの凝固剤を加えて型に流し固める「煮立て搾り」という製法です。島豆腐は、水につけておいた大豆をすりつぶす行程が先にきます。すりつぶした大豆を煮た後は、豆乳とおからを分離。おからを取り除いた豆乳のみを煮て、にがりなどの凝固剤を加えたものをを型に入れて固めるのです。これは、中国から伝わってきた「生搾り」という昔ながらの作り方なのだとか。

島豆腐がどっしりと固めなのは、固める段階で重石を置きしっかりと水分を抜くため。このようにすることで、一般的な木綿豆腐よりも弾力と重みがある豆腐になるのです。また、島豆腐の中で、「地釜とうふ」という名称で売られているものがあります。これは、豆乳を昔ながらの地釜(ハチメー鍋)という鍋で炊き上げるという製法で作られた豆腐のことをいいます。地釜独特の香ばしさと、大豆本来のおいしさが凝縮された島豆腐と言えます。

地釜豆腐

お店で島豆腐と一緒に並んでいることが多い「ゆし豆腐」は、にがりなどの凝固剤を加えたあと20分程度かき混ぜ、固まり始めた状態のものが出荷されたものです。ほのかな甘みとほろっとしたやさしい食感が特徴です。この「ゆし豆腐」も沖縄ではよく食べられているんですよ。

そして、沖縄料理屋さんのメニューで「ジーマーミとうふ」という品書きを見たことがあるという方もいらっしゃるのでは。ジーマーミとは、沖縄の方言で、ピーナッツ(落花生)のこと。豆腐とはいえ、大豆ではなく、落花生の絞り汁に芋クズ(サツマイモデンプン)を加えて作ったものです。濃厚な香りと味、それにモチモチとした食感が独特の豆腐です。

島豆腐とゆし豆腐の食べ方は?

島豆腐を使った料理でもっともポピュラーなのが、前回の記事でご紹介した「チャンプルー」です。ゴーヤーや麩、もやし、キャベツなどの野菜と豚肉または、スパム(缶詰のポークランチョンミート)やコンビーフ、ツナ缶などと一緒に島豆腐を強火で炒め、粉末だしとしょうゆ、または塩コショウで味付けした家庭料理です。

ほかには、「ンブシー」と呼ばれるみそ味の炒めもの、具だくさんのみそ汁、アーサー(=ヒトエグサ、沖縄でとれる海藻)のお吸いものや厚揚げなどにすることも。もちろん、冷奴で食べることもありますね。

ゆしとうふ

「ゆし豆腐」は、だし汁に入れてさっと火を通したものに、塩やしょうゆ、ときにはみそで味付けをし、小口ネギを散らした体にやさしい一品。沖縄では、二日酔いのときに食べるという人も。沖縄そばにゆし豆腐を入れた「ゆし豆腐そば」も人気です。余談ですが、浦添市の高江州そばは、駐車場の空きを待つ車の列ができるほどの「ゆし豆腐そば」の人気店です。

高江州そば:食べログ

そもそも、「とうふ」は漢字では何故に豆腐なのか。腐っていないのに、ですよね。豆腐は中国が発祥といわれ、中国語の固める、とか、柔らかいものという意味を表すのが「腐」という字であるそうです。ですので、お店によってはイメージを良くする意味合いで、「豆富」とか「豆冨」という漢字を使っているところもありますね。個人的には、ひらがなの「とうふ」のほうがしっくり合っているような気がしますが、皆さんはいかがでしょうか?

ご自宅で沖縄の味を、という方に。

島豆腐:Amazon

ジーマミ豆腐:Amazon

イメージ画像

 

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