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美しい琥珀色の泡盛

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「くらに、クラクラ」

と言うキャッチフレーズが受けたか受けないか、1991年の発売以来、ずっと売れ続けている泡盛がヘリオス酒造の「くら」です。日本全国に出荷されているようで、泡盛の中では知名度が高い方かもしれません。目を惹かれる美しい琥珀色。そして、見た目の美しさを裏切らない、上品な味と香りが特徴的です。

くらイメージ

酒は樽で寝かせると旨くなる

「くら」は、貯蔵を木の樽で行っています。木樽の中に入れたお酒は、少しずつ溶け出してくる木の成分により、「樽香(たるこう)」と呼ばれる芳醇な香りと、色が付きます。

元々の酒の個性と、貯蔵に選ばれた樽の個性が、ゆっくり時間をかけて混ざり合うことで、この泡盛の深い風味がつくられるようです。

しっかり寝かせて、そして度数をマイルドタイプに調整していることもあって、味わいはまろやかで優しいです。樽の優雅な香りをまとっていることもあって、クセをほとんど感じず、泡盛が苦手な人でも飲みやすいお酒です。それでいて、ちゃんと「私は泡盛ですよ」と主張もしてきます。熟成で作り出された樽香と、飲みやすさ、泡盛らしさの絶妙なバランスが、「くら」の魅力だと思います。

ヘリオス酒造の二代目、松田亮氏は「酒は樽で寝かせると旨くなる」という信念から、樽貯蔵泡盛を追求するようになります。どの蔵元のどの銘柄にも、掘れば掘るほどこだわりが見えてくるものですが、ヘリオス酒造の「くら」へのこだわりは尋常ではありません。

まず、泡盛の貯蔵に適した樽材を探し求めて、三年もの間、世界各国を回ったといいます。

こだわりの木材を使って、自社の「樽工場」で、その道のエキスパート「樽職人」が、くら専用の樽を作成(他のメーカーは既製品の樽を使う)。

「くら」の貯蔵のためだけの古酒蔵を建設

蒸留機にもこだわり、銅イオンが泡盛の熟成を促すと言われる銅製のポットスチルを導入(県内唯一)。さらに、原料の米は研磨機で磨く(普通は原料米をわざわざ削らない)。そして、太陽の神「herios 」のロゴが刻まれた、くら専用の豪華なボトル。もちろん他の酒造所と同じように、水などの原料や製造方法にも、独自のこだわりがあるようです。以上のような、一つの銘柄に対する強い思い入れや情熱が、30年のロングセラーを生んでいるのでしょう。

くらイメージ

「酒は色んなものを吸収したがる」

ヘリオス酒造製造部の方の話によると、酒というものは「素直な素材」で、色んなものを吸収したがるそうです。空気・におい・光・貯蔵容器の成分など、泡盛は良くも悪くも全てを取り込もうとするのです。そのためヘリオス酒造では、自然豊かな森の中に工場を移し、製造ラインも徹底的に清潔を保ち、純粋な酒がすくすく育つ環境を大事にしていると言います。「木」も生き物ですから、同じ種類の木から作った樽でも、全く同じということはないそうです。ですから、何でも素直に影響を受ける泡盛は、貯蔵する樽によって味が微妙に変わってしまうのだとか。

「くらの原酒は、例え同じ日に樽詰めしても、決して同じ味になることはない」

樽によってそれぞれ違う育ち方をした泡盛を、一定でベストな品質に調整するブレンダーの技術も、くらの味を決める重要な要素のようです。一般的な泡盛しか経験のない方は、この「くら」に出会うことで泡盛のイメージが変わるかもしれません。

ウイスキーを飲むみたいに、オンザロックでクイクイやるのも美味しいし(かっこいいし)、水割りだとよりマイルドな飲み口になって心地良いです。手軽な価格で、上等な時間を過ごせる良い泡盛です。

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(補足)

◉樽香:ウイスキーみたいなにおい。木樽の内側は焼いてあって、その焦げた木からリグニンやタンニンなどの成分が溶け出し、お酒に樽香が付いていく。ついでに色も付いていく。 

酒は樽で旨くなる:ヘリオス酒造は元々ラムの工場で、泡盛製造に着手する前から樽貯蔵に携わっていた。

◉樽材を探し求めて:3年で理想の原木に出会い、くらの製造は開始されたが、その後も樽材の調査は8年間続いたという。採用されているのは樹齢70100年の北米産のホワイトオーク(カナディアンオーク)。一時期のCMでは樹齢200年のフレンチオークを使用しているとも。

◉古酒蔵:1993年に「一の蔵」、2001年に「二の蔵」が完成。樽の貯蔵数は3,000以上にもなるという。その樽たちは「くらのゆりかご」と名付けられている。1樽450ℓ入るそうです。レギュラーのくらは3年貯蔵する。長期貯蔵のくらをブレンドした「ブラック」「プレミアムゴールド」などもある。なかには、100年間取り出さないないと決めている「100年樽」もあると。

◉銅製のポットスチル:銅製の蒸留機は熱効率が良いため、蒸留時のもろみ成分の化学変化(糖とアミノ酸のメイラード反応、脂肪酸とアルコールのエステル化など)を促進させ、蒸留液には臭い成分が少なく、熟成に良い成分が多く残るらしい。ウイスキーの蒸留機はほぼ銅製だが、これは穀物を原料に酒造する際、熱効率の比較的悪い銅以外の釜で蒸留すると、加熱時のオフフレーバーが強くなるためだと思われる。泡盛の蒸留機の材質はヘリオス以外全てステンレス鋼製。

◉原料の米を磨く:泡盛の原料米は既に精米されているので、普通はそのまま使う。米の表面に近い層や胚芽は、タンパク質や脂肪が多く含まれていて、それらは酒の旨味の元となるが、多すぎると綺麗な酒質になりにくい。その点を考慮して、原料米をある程度磨いていると思われる。

◉くら専用のボトル:旧デザインのボトルには「herios kura」と刻まれていた。

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