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沖縄民謡で学ぶ「うちなーぐち」

日本には、都道府県の数の3倍ちかい方言が存在するといわれています。沖縄エリアだけでも北や南、地域ごとで少なくとも5つのカテゴリーの方言があります。最近では、普段は標準語、ビジネスであえて方言を使用するという人が関西や中部地方でいるともいわれています。また、沖縄でもそうですが、特に、若い年代の人たちで方言を話さなくなっている傾向は強いようですね。
沖縄に旅行で来て、お店で沖縄民謡が流れているのを聞いたという方も多いでしょう。ただ、沖縄の言葉(うちなーぐち)で歌われているので、外国語の歌と一緒で、その歌の意味までも理解できないというのがほとんどでしょう。
この「うちなーぐち初級講座」では、沖縄言葉の音楽の歌詞を知ることで、より楽曲の理解を深め、楽曲の良さを知ることで、もっと沖縄のことも知ってもらえればという趣旨で連載して参ります。
色褪せることのない曲「てぃんさぐぬ花」
鳳仙花(てぃんさぐ)の花という優しいイメージを抱かせるタイトルでありますが、歌詞の内容は6番まで全てが子どもに向けた人生の教訓的なものなのなのです。
例えば、4番の歌詞
“宝玉(たからだま)やてぃん 磨(みが)かにば錆(さび)す
朝夕(あさゆ)肝(ちむ)磨(みが)ち 浮世(うちゆ)渡(わた)ら“
標準語にすると、
宝石といえども 磨かなければ錆びてしまう
朝晩に心を磨いて 日々を生きて行くのだよ
といったように、やさしい曲調で子どもを諭しているのです。
学校でも習ったことがあるフレーズで、
「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」
こちらを聞いたことがあるという人は多いはず。
難しいことであっても、その気になって頑張ってやればできる
結果が得られないのは、本気で成し遂げようと思って行動しないからだ
という結構シビアな教訓なのですが、実は、この曲の6番の歌詞にも使われているのです。
“なしば何事(なんぐとぅ)ん なゆる事(くとぅ)やしが
なさぬ故(ゆい)からどぅ ならぬ定(さだ)み“
ちなみに、タイトルの鳳仙花は?というのは、1番の歌詞に出てきています。
かつて、沖縄では鳳仙花の赤い汁でマニキュアのように爪を染める風習がありました。綺麗に染まり、色も取れにくいことから、鳳仙花で染めるように、親の言うことはしっかりと心に深く留めなさいという教えなのです。歌を通じて、子どもたちに大切な教えを伝えていくという点からも、この曲が色褪せずに歌い続けられていることが理解出来ますね。
“てぃんさぐぬ花や 爪先(ちみさち)に染(す)みてぃ
親(うや)ぬゆしぐとぅや 肝(ちむ)に染(す)みり”
引用:「てぃんさぐぬ花」 作曲者・作詞者:沖縄民謡