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民俗資料博物館/名護市

偉大なる発信者の手作り私設博物館
博物館というシロモノは、普通、各自治体が運営しているのがほとんどですが、やんばるにある「民俗資料博物館」は個人の方が収集されたものを展示、運営されているという非常に希少な博物館なのですよ。同じ名護にある御菓子御殿に併設された「沖縄歴史民族資料館」というものもありますが、「民俗」と「民族」の違いが出ているかなぁというか、「民俗資料博物館」は真嘉比館長の個性と思いといった人間味にあふれた博物館だと思います。
蛇足ですが、民俗学はウィキペディアによると、高度な文明を有する諸国家において、自国民の日常生活文化の歴史を、 民間伝承をおもな資料として再構成しようとする学問。そして、民族学は一般に資料的制約をもたず、あらゆるデータから主として他民族の文化、社会を解明していこうとする学問と説明されています。
そもそも、次の世代にも伝えたいという思いから、私財を投じて古民具や古民芸品を収集し、さらには、それを展示するための建物を館長ご自身で建てられたそうで、その情熱の凄さには感動ものです。
博物館は本館と別館の2棟で構成されています。懐かしいジュークボックスがお出迎えしてくれる本館には、時代の変遷を感じさせる工業製品から農業工具まで多岐にわたる構成となっています。
別館は戦争資料館ということで、2階建ての館の中に、こちらも所狭しと、タイムスリップ感が満載の品々が展示されています。1階の銃器などに圧倒されつつ、2階に上がると大量のランプや蓄音機、そして、一番奥の部屋には昭和感がダイレクトに感じられるレコードがズラリと。
どれもこれも、決してジャンクではないのですが、雑多に並べられた展示スタイルは明治、大正、昭和といった急速に進化していった社会背景をコンパクトに凝縮し、かつ、愛らしさにあふれている感じがしました。ただ、戦争資料館の1階は、正直、怖かったです。銃器類を手で触れたら何か別の感覚が生まれたかもしれませんが、見ているだけで何か戦争の風景が頭をよぎって、触れたいという感情さえ生まれませんでした。この感情を持ってもらうことも館長さんの想いなのかもしれませんが。SNSの普及によって、情報発信者が急速に増加していますね。でも、館長さんのように情報を伝承し、継承していくという熱い使命感で発信者としてやっている人はどれだけいるでしょうか。かくいう、編集者としての自分自身のことを省みる良い機会にもなってしまいました。😜
ぜひ、リアルに、この独特な空気感と展示された数々の民具のデザインを楽しんで欲しいので、できるだけ説明は少なくしましたことをご了承ください。また、こちらの博物館にお越しの際には、お隣の「さわのや」さんのもっかい(木灰)そばも楽しまれることをオススメします。
民俗資料博物館 HP
名護市字山田区628
開館:午前9時 閉館:午後5時(事前にご確認ください)
入館料:大人500円/こども200円
電話:0980-58-3355
*屋外トイレ、駐車場有り